プロバスケットボールBリーグのシーガルズが、来季のライセンス交付にあたり「ガバナンス改善計画書」の提出を条件とされたというニュースが報じられました。リーグ側が「ガバナンスの改善」を具体的なライセンス条件として課した点は、非常に示唆に富んでいます。
しかし、ここで多くの組織が陥る罠があります。それは「計画書の提出」それ自体が目的化し、分厚い文書を作成したことで「改善した気分」になってしまうことです。特に外部からの要請で作成する計画書は、このリスクが極めて高い。中小企業の経営者の皆さん、自社の「内部統制基本方針」や「コンプライアンス規程」は、作成した後、本当に「使われて」いますか?
ガバナンスとは、事業目的を実現するための「上位の経営設計」です。計画書は、その設計図の一部に過ぎません。設計図が美しくても、現場で使われなければ意味がありません。本記事では、ニュースをきっかけに、「ガバナンス改善計画書」を単なる提出書類から、実効性のある「実行の設計書」へと変える具体的な方法を、38社以上の実務経験からお伝えします。
「計画書提出」が目的化する瞬間
シーガルズのケースは、外部機関(Bリーグ)がガバナンス改善を求めた典型例です。同様の構図は、金融機関からの融資条件、取引先からの監査要請、あるいは上場準備における証券取引所の指摘など、中小企業でも頻繁に起こり得ます。
この時、組織は「求められたものを提出する」という短期的ゴールに集中しがちです。法務部門や経理部門が中心となり、既存のテンプレートを参照し、網羅的で「無難な」計画書を作成します。その結果、以下のような計画書が生まれます。
- 「年1回、コンプライアンス研修を実施する」
- 「内部通報規程を整備する」
- 「取締役会を毎月開催する」
一見、間違ってはいません。しかし、これらは「何をすべきか(What)」しか書かれておらず、「どのように実行し、その結果をどう事業に活かすか(How & Why)」が抜け落ちています。これでは、計画書は「チェックボックスを埋めるための書類」で終わり、ガバナンスの本質である「事業をより良く回す設計」にはつながりません。
「実行の設計書」に変える3つのステップ
では、提出を迫られた(あるいは自発的に作成する)「ガバナンス改善計画書」を、実効性のある「実行の設計書」に昇華させるにはどうすればよいのでしょうか。以下の3ステップで考えてみてください。
ステップ1: 「What」から「How & Why」へ書き換える
まず、計画書の記述を変換します。抽象的な行動目標を、具体的な実行プロセスとその目的に分解するのです。

