ITと経営 / 情シスと体制
情シス改革が失敗するパターン
2025-12-16
情シス改革は、多くの企業で何度も試みられてきました。組織再編、内製化の推進、DX部門への改組、CIO/CDOの設置。打ち手はさまざまです。
ところが数年後に現場から聞こえてくる声は、驚くほど似ています。「結局、何も変わらなかった」「形だけの改革だった」「現場はむしろ疲弊した」。
情シス改革が高い確率で失敗するのは、個々の施策が悪いからではありません。失敗には決まった「構造パターン」があります。本稿ではそれを順に見ていきます。
人を替えても、構造が同じなら結果は変わらない
最も多いのが、「人」に焦点を当てた改革です。キーパーソンを外部から採用する。情シス長を交代させる。若手やデジタル人材を入れる。
しかし、役割・権限・評価が変わらないまま人だけを替えても、結果は変わりません。新しく来た人材も、やがて「決められない、投資できない、評価されない」という既存の構造に回収されていきます。
組織名や配置を変えても、決める人は変わらない
情報システム部をDX推進部に改称する。情シスを事業部の配下へ移す。横断組織として再編する。こうした組織変更も頻繁に行われます。
けれども、意思決定の主語、つまり誰が何を決めるのかが変わらなければ、組織名に意味はありません。権限・責任・評価軸が同じなら、変わるのは呼び名だけです。期待だけが膨らみ、摩擦が広がって終わります。
DXや内製化が「目的」になった改革は迷走する
失敗する企業では、「DXを進める」「内製化率を上げる」「アジャイルにする」といった言葉そのものが目的になっています。
手段が目的になった改革は、必ず迷走します。何のためのDXなのか。何を内製すべきなのか。どんな成果を出すのか。それが定義されないまま、活動だけが増えていきます。
評価を変えずに「変われ」と言っても、人は動かない
多くの改革は、一つの矛盾を抱えています。評価は従来どおり「障害ゼロ」「コスト削減」のままなのに、「攻めろ」「変われ」と求めるのです。
この条件で情シスが取れる合理的な行動は、一つしかありません。掛け声には従い、行動は変えないことです。評価が変わらない限り、行動は変わりません。
経営が変わらないまま、情シスだけを変えようとする
最も根深いのがこのパターンです。経営はIT(情報技術)の定義を更新せず、統合的な判断も引き取らない。それでいて、改革は情シスに任せる。
経営が変わらないまま、情シスだけを変えようとしているわけです。この構造の上では、どんな改革も長続きしません。
行き詰まると「現場の問題」にすり替わる
改革が行き詰まったとき、最後に持ち出される説明は決まっています。「現場が理解していない」「スキルが足りない」「意識が低い」。
これは、構造の問題が個人の問題にすり替わった瞬間です。そして、改革が失敗したことを示すサインでもあります。
最初に変えるべきは、経営が引き取るもの
情シス改革が失敗するパターンは、ほぼ決まっています。経営が担うべき定義・判断・責任を引き取らないまま、改革を現場に委ねることです。
IT戦略やシステム改革を成功させたいなら、最初に変えるべきは組織図でも人材でもスローガンでもありません。経営がITで何を決め、何を自ら引き取るのか。この一点を明確にしない限り、改革はこれからも合理的に失敗し続けるでしょう。