生成AI活用の盲点、Web公開で露呈した課題
2026-05-21
生成AIを使いこなせているのは3人に2人だけ
「仕事で生成AIを使っている」と答えた経営者や個人事業主のうち、実に36.5%がWebページの公開・更新にAIを活用できていない――。ペライチが実施した中小・個人事業者のAI活用実態調査から、意外な実態が浮かび上がりました。
本メディアでも繰り返し指摘してきたとおり、生成AIの導入率は確実に上がっています。しかし、「使っている」ことと「使いこなせている」ことの間には、まだ大きな隔たりがあります。
Webページの公開・更新は、多くの中小企業にとって日常業務の一つです。それなのに、AIを導入しながらこの領域で成果を出せていない企業が3分の1以上もある。経営者として見逃せない現実です。
なぜWeb公開・更新でAI活用が進まないのか
「書くだけ」から「公開する」までの壁
生成AIの得意分野は、テキストの生成です。ブログ記事の下書きやキャッチコピーの作成に、多くの経営者がこの機能を使っています。ところが、生成したコンテンツを実際にWebページとして公開・更新する段階で、多くの企業がつまずいています。
私自身も、自社のWordPressサイトでAIによる記事生成パイプラインを組み上げるまでに、何度も試行錯誤を重ねました。AIが書いた文章をそのまま公開すると、SEOの観点から物足りなかったり、ブランドのトンマナに合わなかったりすることが少なくありません。
具体的な課題は3つ
調査結果から見える課題は、大きく3つに分けられます。
1つ目は、「編集と公開のプロセスが分断されている」ことです。AIで記事を書いても、それをWebサイトに反映させる作業が別に発生します。この「翻訳作業」がボトルネックになっています。
2つ目は、「AIの出力をそのまま使えない」ことです。事実確認やトンマナの調整、画像の選定など、人による確認作業が欠かせません。そして、この確認工程をAIに任せる方法がまだ確立されていません。
3つ目は、「ツール間の連携不足」です。ChatGPTやClaudeで生成したコンテンツを、WordPressやペライチなどのCMSへ自動で流し込む仕組みを持たない企業が多い。手作業でコピー&ペーストしているケースが大半でしょう。
解決策は「パイプラインの自動化」
AI×CMSの直接連携がカギ
この課題を解くには、AIとCMSを直接つなぐ仕組みが効果的です。具体的には、次のようなパイプラインを組みます。
まず、AI(ClaudeやChatGPT)で記事の下書きを生成します。次に、その内容を自動でCMSのフォーマットに変換します。最後に、承認フローを経て自動で公開する。この一連の流れを自動化すれば、手作業の工数を大きく減らせます。
私の場合、WordPressのREST APIとClaude Codeを組み合わせて、月間20本の記事をほぼ自動で公開できる体制をつくりました。初期設定に半日ほどかかりましたが、その後は1記事あたりの作業時間が約15分から3分に縮まっています。
コストは想像より低い
この仕組みを導入するコストは、想像するほど高くありません。AIのAPI利用料は月額数千円から1万円程度。CMS側のプラグインやカスタマイズ費用も、技術者に依頼すれば5万円から10万円程度で収まります。
ただし、社内に技術人材がいなければ、ハードルは高く感じられるかもしれません。その場合は、ペライチのようなノーコードCMSとAIの連携プラグインを提供するサービスを選ぶのも一手です。
経営者が今すぐできる3つのアクション
現状の棚卸しから始める
最初にすべきは、自社のWeb公開プロセスを見える化することです。誰が、どのツールで、どんな手順で記事を公開しているのか。その工程のどこにAIを組み込めるのかを洗い出します。
たいていの場合、記事の「執筆」工程はすでにAI化できているはずです。問題は、その後の「編集・公開」工程です。ここの自動化が次のステップになります。
ツールの選定とテスト
次に、自社のCMSに対応したAI連携ツールを選びます。WordPressなら「Jetpack AI」や「AI Power」などのプラグインが選択肢になります。ペライチなら、同社が提供するAI機能を活用するのが最もスムーズでしょう。
大事なのは、いきなり全記事を対象にしないことです。まずは週1本のペースでテスト運用し、品質や工数の削減効果を確かめます。そのうえで、少しずつ本格運用へ移るのが現実的です。
属人化を防ぐ仕組みづくり
最後に、AIを使った公開プロセスが特定の担当者に頼らずに回る仕組みをつくります。マニュアルの自動生成や、承認フローの標準化が有効です。
私のチームでは、AIが生成した記事をSlackに自動投稿し、チームメンバーが確認・承認できるフローを構築しています。おかげで、担当者が不在でも運用が止まらない体制が整いました。
まとめ:AI活用の次のフェーズは「統合」
生成AIの導入が進むなかで、いま求められているのは「使うこと」から「使いこなすこと」への移行です。とりわけWebページの公開・更新は、多くの中小企業にとって顧客との接点の要です。この領域でAIを生かせなければ、競争力の面で大きなハンデを負います。
今回の調査結果は、AI活用の「次の壁」をはっきり示しました。経営者に必要なのは、この壁を認識し、具体的な手を打つことです。ツールを入れるだけでなく、業務プロセス全体を見直す視点が欠かせません。
AIとCMSの直接連携は、決して大げさな投資ではありません。月額数万円のコストで、Web公開業務の効率を劇的に高められます。まずは自社の現状を把握し、小さな一歩から始めてみてはいかがでしょうか。