責任の所在を曖昧にする組織の末路
組織として意思決定プロセスが存在していても、何か問題が起きたとき、誰が決めたのか分からない。「組織として判断した」という言葉で片付けられ、個人の責任は追及されない状況が常態化しています。
なぜ責任の所在が重要なのか
今回扱う判断
なぜ「責任の所在を曖昧にする組織」は、長期的に必ず弱体化していくのか。
経営判断としての重要性
責任の所在は、処罰のためや誰かを責めるために存在するものではありません。責任とは本来、判断の質を高め、組織を学習させるための装置なのです。
結論サマリー
学習できない組織
責任が曖昧な組織は、失敗から学習することができません。
本質的な問題
責任を恐れる文化ではなく、責任を設計していないことが問題です。
正しい設計方針
判断ごとに「誰が決めたか」を明示することが重要です。

※これは責任追及を強める話ではなく、判断構造を健全化する話です。
前提整理:判断の本質
事業目的
判断の質を継続的に高めること
制約条件
  • 判断には必ず不確実性がある
  • 正解は事前には分からない
  • 結果の良し悪しと判断の良し悪しは一致しない
この前提に立てば、責任とは「結果の責任」ではなく、判断の責任でなければなりません。
責任が曖昧になる典型構造
多くの組織で、次のような構造が見られます。これは、責任を消すためにプロセスが使われている状態です。
1
合議制の罠
合議制で決めるが、決定者は存在しない
2
判断の分散
稟議・委員会で判断が分散する
3
責任の回避
結果が悪いと「当時は妥当だった」と総括される
本来あるべき責任設計
機能する組織では、責任の設計が明確です。責任とは、誰かを縛るものではなく、判断を残すための仕組みなのです。
01
判断主体の明確化
判断主体は一人に定まっている
02
記録の保持
その判断は記録されている
03
検証の実施
結果とは切り分けて検証される
経営判断としての分業
経営・決裁者の役割
  • 判断を引き受ける
  • リスクを自覚的に取る
  • 結果を検証させる
組織・プロセスの役割
  • 判断材料を整える
  • 判断を記録する
この分業が成立して初めて、責任は組織の学習装置になります。
よくある失敗パターン
集団責任幻想
全員で決めたことにする
プロセス依存
稟議を通ったから正しいと思う
結果論裁き
失敗したから間違いだったと断じる
これらはいずれも、責任を設計していない兆候です。
責任を学習装置として機能させる
1
Before
失敗は反省されるが、次の判断に活かされない
2
設計の転換
責任を「処罰」から「学習装置」へ
3
After
失敗しても強くなり続ける組織へ
読了後の経営者の状態
認識の転換
責任を「処罰」ではなく学習装置として捉え直せる
明確化の実現
誰がどの判断をしたのかを明示できる
継続的成長
組織として判断力を積み上げられる

結果として、責任が明確な組織は、失敗しても強くなり続けます。