分野横断で判断できない組織の限界
法務・会計・税務・IT・人事など、各分野はそれぞれ整っているのに、組織としての判断力は弱い。なぜこの矛盾が生まれるのでしょうか。
現状の課題
組織が抱える典型的な問題
法務・会計・税務・IT・人事など、各分野はそれぞれ整っています。しかし、分野をまたぐ意思決定になると、誰が最終的に決めるのか分からない、各部門の意見が並ぶだけで結論が出ない、結局「一番安全そうな案」に落ち着くという状況が常態化しています。
結果として、各分野は強化されているのに、組織としての判断力は弱いのです。
典型的な症状
  • 最終決定者が不明確
  • 部門間で意見が並列
  • 保守的な案に収束
  • 意思決定の遅延
議題設定
なぜ分野横断で判断できないのか
今回扱う判断
なぜ、分野横断で判断できない組織は、一定規模以上で必ず限界を迎えるのか。
経営判断としての重要性
事業が成長するほど、判断は必ず分野横断になります。法務だけでは決められない、会計だけでも決められない、セキュリティだけでも決められない。
分野別の最適化の延長で判断し続けると、意思決定は必ず詰まる
核心
結論:組織の限界は構造で決まる
01
人材や専門性ではない
組織の限界は、判断構造で決まります。
02
最大の原因
分野横断で判断できない最大の原因は、各分野を束ねる上位の判断軸が存在しないことです。
03
正しい設計方針
分野別判断を統合する「経営判断の場」を明示的に設けることが必要です。

※横断会議を増やす話ではなく、主語を設計する話である。
前提条件
事業の前提と制約条件
事業目的
複雑な条件下でも、意思決定を止めずに前進させること。
制約条件
  • 各分野は部分最適で動く
  • 分野間には評価軸の非対称がある
  • 分野同士は自然には統合されない
この前提に立てば、分野横断判断は自然発生しない
分野縦割りが生む典型的な限界
分野横断で判断できない組織では、次の現象が同時に起きます。
意見の並列化
法務・会計・ITの意見が並列に並ぶ
全体最適の不在
誰も全体最適を語らない
保守的な結論
最も保守的な案が残る

これは、比較検討の主語が存在しない状態である。
理想の構造
本来あるべき分野横断判断の構造
機能する組織では、分野横断判断は次の順序で行われます。
経営が方向性を示す
経営が事業目的と優先順位を示す
各分野が材料を提供
各分野が条件・制約・選択肢を提示する
経営が選択する
経営が条件付きで選択する
分野は、判断主体ではなく判断材料の供給者として配置される。
経営判断としての分業
この分業が成立して、初めて分野横断判断が可能になります。
経営の役割
  • 分野をまたぐトレードオフを引き受ける
  • 全体最適で判断する
  • 最終責任を負う
各分野の役割
  • 自分の分野の制約を明確化する
  • 他分野との衝突点を言語化する
注意
よくある失敗パターン
横断会議幻想
集めれば解決すると誤解する
合議制依存
誰も決めない
専門家均衡
各論が互いに牽制し合う
これらはいずれも、上位判断軸を設計していない結果である。
成果
読了後の経営者の変化
構造として捉える
組織の限界を人や制度ではなく構造として捉えられるようになります。
判断を引き取る
分野横断判断を経営の仕事として引き取れるようになります。
設計を理解する
成長フェーズで何を設計し直すべきかが分かるようになります。
結果として、組織は専門性を失わずに、全体として前に進めるようになる。