法務はブレーキではなく翻訳装置である
法務を「事業にNOを出す部門」として認識していませんか?新しい施策やグレーな論点が出るたびに法務に可否を確認し、NGならその場で止めるという運用が常態化していると、法務は意図せずブレーキ役として固定され、経営判断の前線から遠ざけられていきます。
経営判断
法務の位置づけを見直す
今回扱う判断
法務を「ブレーキ」ではなく、事業を前に進めるための「翻訳装置」としてどう位置づけ直すか。
なぜ重要か
法務の使い方を誤ると、判断が遅くなり、専門家依存が強まり、経営者が設計者でなくなります。これは法務の能力の問題ではなく、経営側の役割設計の問題です。

重要なポイント
法務を弱体化する話ではなく、正しい場所に戻す話である。
結論:法務の本質的な役割
役割の再定義
法務の役割は「YES/NOを決めること」ではありません。
翻訳装置として
事業目的を法的制約の中で成立する形に翻訳する装置です。
正しい順序
事業でやりたいことを定義→法務が成立条件を翻訳→経営が条件付きで選ぶ
前提となる事実と制約
事業目的
法令を遵守しつつ、事業を成立・拡張させることが最優先です。
法律の性質
法律は原則ベースであり、解釈と設計の余地があります。実務上の多くの判断は、1〜99のリスク水準に存在します。
意思決定の主体
法務は最終意思決定者ではありません。この前提に立てば、法務に二値の可否判断を求めること自体が設計ミスです。
誤った法務の使われ方
多くの組織で、次の構造が固定化しています。これは翻訳装置に決定権を渡してしまっている状態です。
経営・事業側
「これは法的に大丈夫か?」と聞く
法務の回答
「リスクがある/グレー/前例がない」
結果
判断が止まるか、最も保守的な案が選ばれる
翻訳装置としての法務
問いの立て方が変わる
法務が本来の機能を果たしている組織では、問いの立て方が根本的に異なります。
誤った問い
「できるか/できないか?」
正しい問い
「成立させるための条件は何か?」

法務の本来の役割
  • 禁止事項を列挙する存在ではない
  • 複数の成立パターンと条件差分を提示する存在
正しい分業:経営と法務の役割
経営の役割
  • やりたい事業を定義する
  • 許容するリスク水準を決める
  • 条件付きで選択する
法務の役割
  • 法的制約を整理する
  • 成立条件を複数案で翻訳する
  • 各案のリスク差分を説明する
主語が入れ替わった瞬間に、ガバナンスは機能しなくなります。経営判断の主語を、自分に取り戻すことが重要です。
よくある失敗パターン
法務に可否を聞く
判断を委譲している状態。経営の主体性が失われます。
ゼロリスク要求
成立余地を自ら潰してしまい、事業機会を逃します。
法務主導設計
事業目的が後退し、本末転倒な結果を招きます。
これらはすべて、法務をブレーキとして扱った結果です。法務の正しい使い方を理解することで、これらの失敗を避けることができます。
変革後の経営者の状態
認識の変化
法務を「止める存在」ではなく、前に進める翻訳者として使えるようになります。
問いの質の向上
法務への問いが「可否」から「条件」に変わり、建設的な対話が生まれます。
主体性の回復
経営判断の主語を、自分に取り戻すことができます。
法務は事業成立確率を高める装置
最終的な成果
法務を正しく位置づけることで、法務は事業スピードを落とす部門ではなく、事業成立確率を高める装置になります。
100%
経営判断の主体性
意思決定の主語を取り戻す
100%
事業スピード
適切なリスクテイクで加速
法務を翻訳装置として活用し、事業を前に進めましょう。